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東尋坊〜みくに龍翔館

 それにしても、東尋坊は噂通りの迫力であった。

 日本海に突き出した岩場は、柱状節理の発達した異様な姿をしており、打ち付ける波と強風は足をよろめかせる。

 いつ海に飲みこまれても不思議ではない気分にさせる。

 とはいえ、ここに飛びこめば死ねるかといえば、それはまた疑問でもある。

 そんなに高くないし、やたらとひとがいるし、土産物屋がぎっしり並ぶ観光地だし。しかも、最近はポケゴーで夜もずっとひとがおり、2016年はついに自殺者ゼロを達成したとか……。

 ひとわたり土産物屋をからかったあと、東尋坊バス停から三国の市街地へ戻る。

 永正寺バス停で降りれば、すぐ目の前が永正寺だ。

 第17世永言(巴浪)は夕陽観と呼ばれた俳人で、文人墨客を招き、九頭竜川河口の景色を愛でながらの句会が催されたことで有名だという。

 越前を代表する俳人で遊女であった哥川の菩提寺でもあり、「稲妻や 明る妻戸に 見うしなひ」の句碑がある。

 そこから花街だった出村の町並みを歩き、思案橋へ。

 ここで若だんなたちが遊びに行くかどうか思案したのだとか。

 橋の脇には、三国湊口留番所跡、湊銭取立所跡もある。

 魚志楼は大正期の風情を残す料亭である。

 たかだやは、三好達治が愛した元料亭。

 古い雰囲気が崩れずにあり、散歩するにはいい町だ。

 ただ、このあたりで雨模様になり、先を急ぐ。

 地蔵堂からみくに文化未来館を横目で眺め、三国成田山へ。

 北陸にある唯一の別院だという。

 隣接して三国観光ホテルがあるが、こちらはまあ外観をチラ見する程度。

 そして、びしょ濡れになりながら、みくに龍翔館へ。

 受付のひとが見かねてタオルを貸してくれるほどだった。ありがたい。

 1981年に開館した三国町の博物館なのだが、建物がお洒落。もともとオランダ人技術者G・A・エッセルが設計した旧龍翔小学校の外観を模してあるのだ。

 エッセル九頭竜川河口部と三国港の整備のため、1876年に三国にやってきた人物で、だまし絵で有名なマウリッツ・エッシャーの父でもある。

 そのため、三国ではだまし絵のコンテストが行われており、館内にも歴代の入賞作品が飾られていた。

 そのほか、高見順三好達治、森田愛子ら三国ゆかりの文学者についても紹介されており、勉強になった。